外付けHDDが3台、机の下に転がっている。1台は写真バックアップ用、1台は動画の書き出し用、もう1台はもう中身を覚えていない。ケーブルを挿し間違えて認識しない、なんてことが月に1回は起きる。この「バラバラに増えていくストレージ」問題を、いい加減終わらせたくてSynology DS223jを導入した。
NASという単語には、正直ハードルの高さを感じていた。サーバーを自分で構築するような、専門知識が要る機材だと思い込んでいたからだ。だが実際に触ってみると、その印象は最初の30分で崩れた。DS223jは「初めてNASに触る人」を明確に想定して作られている。難しさを感じたのは、むしろHDDをトレイに固定するネジ止めの工程くらいだった。
主要スペック
| 型番 | DS223j(型番表記:DS223j/G) |
|---|---|
| ベイ数 | 2ベイ(RAID 1 / SHR / JBOD対応) |
| CPU | Realtek RTD1619B クアッドコア |
| メモリ | 1GB DDR4(増設不可) |
| ネットワーク | 1000BASE-T LAN ×1 |
| USBポート | USB 3.2 Gen1 ×2 |
| OS | Synology DSM 7.2 |
| 付属 | クイックスタートガイド(日本語ガイドブック付) |
| 参考価格 | 36,970円(税込・変動あり、HDD別売) |
使って分かった「良かった点」
✓ 良かった点
- セットアップがブラウザだけで完結する。HDDを差し込んで電源を入れ、あとはPCのブラウザからSynology独自の「find.synology.com」にアクセスするだけ。専用ソフトのインストールも、コマンド入力も一切なかった。案内に沿ってクリックしていくと、気づけばNASが起動していた。
- RAID 1で「消えない安心感」が手に入った。2台のHDDにミラーリングで書き込むため、片方が故障してももう片方からデータを復元できる。単体HDDのバックアップにあった「壊れたら終わり」という緊張感が、これでかなり和らいだ。
- スマホアプリでの外出先アクセスが便利。Synology Photosを入れておけば、家族のスマホで撮った写真が自動でNASに集まってくる。旅行から帰った日にPCを開かなくても、写真が勝手に整理されているのは想像以上に快適だった。
- 動作音が想像より静か。本体はファン付きだが、リビングに置いても気にならない音量。夜中に書き込みが走っても、隣の部屋まで聞こえるようなことはなかった。
- 「とりあえず1台」の値段としては現実的。3万円台という価格は、外付けHDDを複数買い足す感覚に近い。NAS入門として財布に優しいラインに収まっている。
正直に言う「注意点」
⚠ 注意点
- CPUは動画のリアルタイム変換に弱い。搭載されているRealtekのCPUは、4K動画をその場で別形式に変換するような処理には向いていない。ファイル保管・共有・バックアップ用途と割り切って使うのが正解だ。
- メモリは1GBで増設不可。後から容量を足すことができないため、同時に多くのアプリを動かす使い方には向かない。「家族の写真とファイルを安全に置いておく」という用途の範囲で使うのが前提になる。
- LANポートは1系統のみ。上位モデルにある2.5GbE対応やリンクアグリゲーションはなく、転送速度は1000BASE-Tの範囲に収まる。大量のデータを頻繁にやり取りする用途には物足りなさが出る。
- HDDは別売。本体だけでは使えず、対応するNAS用HDDを別途2台用意する必要がある。初期費用はHDD代を含めて考えておいたほうがいい。
「バラバラのHDD」を卒業する、ちょうどいい入口
DS223jは、派手な機能で勝負するモデルではない。むしろ「初めての1台」として、余計な要素を削ぎ落とした構成に見える。CPU性能もメモリも上を見ればきりがないが、家族写真の保管や仕事ファイルの共有バックアップという用途であれば、この構成で十分すぎるほど役目を果たす。
机の下に転がっていた3台の外付けHDDは、今はDS223j1台に集約された。ケーブルを挿し間違える心配も、どのHDDに何を入れたか忘れる不安もなくなった。NASという言葉のハードルの高さに二の足を踏んでいるなら、その最初の1台にDS223jを選ぶのは、堅実な判断だと思う。