「壊れてないから使い続けている」——そのルーター、本当に問題ないと思っているなら、一度疑ってほしい。
ルーターは「壊れないから交換しない」家電の代表格だ
冷蔵庫やエアコンは壊れたら替える。テレビは画質が気になったら替える。でもルーターは——動いている限り、誰も替えない。コンセントの陰に置かれたまま、何年も、時には10年以上使い続けられる。
問題は、ルーターが「壊れる」前に「時代遅れになる」ことだ。接続するデバイスは毎年増える。動画の解像度は上がる。テレワークのビデオ会議は常時接続になる。その全てを、数年前の規格のルーターが支えようとしている。
「なんか最近Wi-Fiが重い」「離れた部屋で繋がりにくい」「ゲームがラグい」——そのストレスの原因が、ルーターにある可能性は高い。そして解決策が9,800円で買える時代になった。
なぜ「2年に1回」替えるべきなのか
Wi-Fiの世代交代は加速している。Wi-Fi 4(2009年)→ Wi-Fi 5(2013年)→ Wi-Fi 6(2019年)→ Wi-Fi 6E(2021年)→ Wi-Fi 7(2024年)。規格の更新サイクルはおよそ3〜5年だ。
ルーターの買い替えが必要な理由は、スピードだけではない。セキュリティの問題がある。古いルーターはファームウェアのアップデートサポートが終了する。サポートが切れたルーターはセキュリティの脆弱性が放置され、外部からの侵入リスクが高まる。「壊れていないから使い続ける」ことが、ネットワーク全体の弱点になる。
もうひとつは、接続デバイスの増加だ。スマートフォン、PC、タブレット、スマートTV、ゲーム機、スマートスピーカー、IoT家電——現代の家庭では10台以上のデバイスがWi-Fiに接続していることも珍しくない。古い規格のルーターは同時接続台数が多くなると速度が落ちやすく、最新規格のMU-MIMOやOFDMAのような同時処理技術を持っていない。
目安として、Wi-Fi 5(11ac)は同時接続〜10台程度で安定、Wi-Fi 6(11ax)は〜20台以上で安定、Wi-Fi 7(11be)は多数のデバイスをMLOで安定処理できる。
TP-Link Archer BE220とは
TP-Linkが2024年11月に発売したWi-Fi 7対応デュアルバンドルーターで、Amazon.co.jp限定モデル。「BE3600」グレードで5GHz最大2882Mbps+2.4GHz最大688Mbpsを提供し、Wi-Fi 7の目玉機能であるMLO(マルチリンクオペレーション)にも対応する。価格は実売9,800円——Wi-Fi 7ルーターの入門機として、現時点でもっとも手が届きやすい一台だ。
主要スペック
| Wi-Fi規格 | Wi-Fi 7(IEEE 802.11be) |
|---|---|
| 最大通信速度 | 5GHz:2882Mbps+2.4GHz:688Mbps(合計最大3.6Gbps) |
| 新技術 | MLO・Multi-RU・4K-QAM・OFDMA・MU-MIMO |
| 有線ポート | 1Gbps WAN×1・1Gbps LAN×4 |
| セキュリティ | WPA3・TP-Link HomeShield(AIセキュリティ) |
| メッシュ対応 | EasyMesh互換 |
| 対応IPv6 | 対応(IPoE/PPPoE) |
| 設定アプリ | Tether(iOS/Android・3ステップ設定) |
| 実売価格 | 約9,800円(Amazon.co.jp限定) |
使ってわかった、3つの変化
1. 「古いルーターとの速度差」は実測で体感できる
実際に、発売から11年が経過した古いルーター(Wi-Fi 5世代)からArcher BE220に切り替えた際の実測値として、下り45〜85Mbps→最大693Mbpsという変化が報告されている。同じ光回線・同じ部屋で、ルーターを変えるだけで約10倍になったという数字だ。
ルーターを長く使い続けている場合、回線の問題だと思っていたことがルーターの問題だったという逆転が起きやすい。「回線を変える前に、まずルーターを変えろ」はネットワーク界隈の定番アドバイスだが、それを9,800円で試せるのがBE220の価値だ。
2. MLOが「同時接続の多い家庭」に効く
Wi-Fi 7の目玉機能MLO(マルチリンクオペレーション)は、5GHzと2.4GHzを同時に使ってデータを送受信する技術だ。従来は「5GHz帯か2.4GHz帯か」どちらかに繋がるだけだったが、MLOでは複数の帯域を同時に活用するため、スループットが上がり遅延が下がる。
MLOの恩恵を最大限に受けるには端末側もWi-Fi 7対応である必要があるが、iPhone 16シリーズ・最新のAndroid・Wi-Fi 7対応PCなどでは既に対応済みだ。今後のデバイス更新に合わせて、ルーターが先行して対応していることには意味がある。
3. HomeShieldで「セキュリティの見える化」ができる
TP-Link HomeShieldは、ホームネットワーク上のデバイスをリアルタイムで監視し、不審な通信や外部からの侵入の試みを検知・ブロックするセキュリティ機能だ。Tetherアプリから「今どのデバイスが繋がっているか」「不審なデバイスはないか」を確認できる。
古いルーターにはこういった可視化機能がない。「誰かが自分のWi-Fiに侵入している」かどうかを確認する手段がなかった。見えなかったものが見えるようになる——それはセキュリティ意識を変える体験だ。
正直に書く、気になる点
- 6GHz帯には対応していない。
BE220は「Wi-Fi 7入門機」という位置づけで、Wi-Fi 7のフルスペック(6GHz帯を含むトライバンド)を使いたい場合は上位モデル(Archer BE5000以上)を検討する必要がある。1Gbps以下の回線を使っている一般家庭では、BE220で十分な性能が得られる。 - 有線ポートはすべて1Gbpsまで。
2.5Gbps以上の高速有線環境を必要とするNASや高速回線ユーザーには物足りない。こちらも上位モデル(Archer BE400など)の検討が必要になる。 - 再起動時の立ち上がりには2分程度かかる。
障害時に即座に復旧するタイプではないが、この点は同価格帯の他社製品でも同様だ。
こんな人に向いている
Wi-Fiルーターを3年以上替えていない人、「なんか最近遅い」「離れた部屋で繋がりにくい」と感じている人、接続デバイスが10台以上ある家庭、テレワーク・ビデオ会議を頻繁に行う人、将来的にメッシュWi-Fiに拡張したい人、Wi-Fi 7をまず試してみたいが高額モデルは避けたい人には特におすすめできる。
総評
Wi-Fiルーターは「壊れるまで使い続けるもの」という認識が根強いが、家電の中でもとくに技術革新の速いカテゴリだ。2年ごとに見直すつもりで使うと、常に現役の通信環境を安価に維持できる。
Archer BE220は9,800円でWi-Fi 7・MLO・HomeShieldという最新装備を手に入れられる。古いルーターを使い続けている間に失っていたスピード、セキュリティ、快適さを取り戻すコストとして、この金額は安い。「まだ壊れていないから」という理由で買い替えを先送りしている人に、一番届けたいルーターだ。