在宅ワーク用に安いモニターを探し始めると、必ず一度は通る道がある。「1万円以下は地雷」という思い込みだ。白っぽいパネル、ぐらつくスタンド、目が痛くなるチラつき。私も昔、名前も思い出せないメーカーの格安モニターで痛い目を見た。画面の右下だけ妙に黄色い個体が届いて、返品する気力もなくサブ機として2年我慢した。あの徒労感は、まだ指先が覚えている。
だから「Xiaomi モニターA24i 2026、9,980円で144Hz」と聞いたとき、最初に思ったのは「盛りすぎだろう」だった。144Hzといえば、少し前までゲーミングモニターの看板スペック。それがsRGB99%、色差ΔE<1の工場キャリブレーション付きで1万円を切る。どこかに落とし穴があるはずだと、半ば粗探しのつもりで机に置いた。
主要スペック
| 画面サイズ / パネル | 23.8インチ / IPS(非光沢) |
|---|---|
| 解像度 | 1920×1080(フルHD) |
| リフレッシュレート | 最大144Hz |
| 色域 / 色精度 | sRGB 99% / ΔE<1(出荷時キャリブレーション) |
| 輝度 / コントラスト比 | 300nits / 1500:1 |
| 応答時間 | 6ms |
| 入力端子 | HDMI 2.0 ×1、DP 1.4 ×1(HDMIケーブル付属) |
| スタンド調整 / VESA | チルト 前5°/後15° / 75×75mm対応 |
| 重量(台座含む) | 約3kg |
| 参考価格 | 9,980円(税込・変動あり) |
使って分かった「良かった点」
- 144Hzは、ゲームをしない人にこそ効いた。Excelの縦スクロール、ブラウザのタブ切り替え。文字が「流れる」のではなく「滑る」。60Hzのノートに視線を戻した瞬間、画面がカクついて見えて驚いた。一度知ると戻れない類の快適さだった。
- 色が「安物の色」をしていない。ΔE<1の工場キャリブレーションは伊達ではなく、撮った写真を開いても空の青が変に転ばない。仕事の資料と趣味の写真整理、両方を1台でこなせる発色だ。
- 非光沢IPSで、夕方の目の疲れが違う。窓を背にしたデスクでも自分の顔が映り込まない。300nitsあるので日中でも輝度を上げれば十分明るく、TÜV認証の低ブルーライトも相まって、退勤時の目のショボつきが明らかに減った。
- ベゼルが細く、9,980円に見えない佇まい。3辺狭額縁で、電源を切っているときの存在感が静か。会議の背景に映り込んでも安っぽさがない。個人的には、この「所有していて恥ずかしくない見た目」が価格以上の価値だと思っている。
- HDMIとDPの2系統入力。仕事用ノートとデスクトップを挿しっぱなしにして、ボタンひとつで切り替え。ケーブルの抜き差しという地味なストレスが消えた。HDMIケーブルが同梱されているのも、地味だが効く。
正直に言う「注意点」
- スタンドはチルトのみ。高さ調整ができない。前5°/後15°の角度調整だけで、上下昇降も回転もない。座高や机の高さによっては視線が合わず、モニター台かVESAアーム(75×75mm)の追加が前提になる。ここは価格なりだ。
- 解像度はフルHD止まり。文字の精細さはWQHDに敵わない。23.8インチのFHDは実用十分だが、細かい文字をじっと見る作業が多い人は、近づくとドットの粗さに気づく。写真の等倍確認やデザイン用途がメインなら、上のクラスを検討すべきだ。
- スピーカー非搭載。音は出ない。ヘッドホンかPC側のスピーカーが必須で、「モニターから音が出るのが当たり前」の感覚で買うと戸惑う。
- 応答時間6msは、本気の対戦ゲーム向けではない。144Hz表示は滑らかだが、1msクラスのゲーミングモニターと比べれば残像感はある。FPSで勝ちにいく用途なら、素直にゲーミング専用機を選んだほうがいい。
「安物買いの銭失い」の定義が、1万円の下に更新された
2週間使って、粗探しは失敗に終わった。落とし穴だと思っていた場所には、割り切りが置いてあっただけだった。スタンドは動かない、音は出ない、解像度はFHD。その代わり、パネルと発色と144Hzという「毎日目に入る部分」には一切手を抜いていない。金のかけ方の順番が、ちゃんと使う人間の側を向いている。
昔の私に教えてやりたい。1万円以下が地雷なのではなく、どこを削った1万円以下なのかを見ろ、と。A24i 2026は、削る場所を間違えなかった稀有な例だと思う。メインの1台目にも、在宅ワークのサブにも、子どもの初めてのPC環境にも勧められる。
ちなみに大学生なら、Prime Studentに入っておくとセールの恩恵を受けやすい。9,980円のモニターがさらに安く買えるタイミングは、実際にある。新生活のデスクを1万円で整える時代が来たのだと、少し羨ましくなった。
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