新幹線や飛行機の中でノートPCを開くとき、隣の席から画面が見えるのが地味にストレスだった。仕事のスライドならまだしも、移動中に映画や配信を観たいときは、なおさら気を使う。ARグラスという選択肢は知っていたが、「結局メガネ型のモニターでしょ」くらいにしか思っていなかった。

RayNeo Air 4 Proを実際にかけてみて最初に驚いたのは、視界の広さでも解像感でもなく、周囲から画面がまったく見えないという安心感だった。プライバシーのための道具だと思っていたら、気づけば画質そのものにも満足していた。

RayNeo Air 4 Proとは何か

RayNeoはXRグラス・ARグラスを専門に手がけるブランドで、Air 4 Proはそのフラッグシップに位置するモデルにあたる。最大の特徴は、世界初とうたわれるHDR10対応のARディスプレイで、独自の「HueView™ 2.0」パネルにより10億色以上の色域を再現するという。46度の視野角で201インチ相当の大画面を投影しつつ、本体重量は約76gに抑えられている。

USB-Cケーブル1本でスマートフォン・ノートPC・ゲーム機に接続できるプラグ&プレイ方式で、iPhone・Android・Switch 2・PS5・Steam Deckなど幅広いデバイスに対応する。音響面ではBang & Olufsenが監修した4スピーカーの360°サウンドを搭載し、音漏れを抑える「ウィスパーモード」も備えている。

主要スペック

型番XRGF39
参考価格45,980円→39,999円(税込・変動あり)
画面サイズ201インチ相当(仮想スクリーン)
視野角46度
解像度1080P
輝度1200 nits
リフレッシュレート120Hz
HDR対応HDR10対応
オーディオBang & Olufsen監修 4スピーカー・360°サウンド
質量約76g
接続方式USB-C(プラグ&プレイ)
対応デバイスiPhone/Android/Switch 2/PS5/Steam Deck 等

使ってわかった3つの正直な話

1. 「のぞき見されない」快適さが、想像以上に大きい

ARグラスの利点として真っ先に語られがちなのが大画面だが、実際に使い始めて一番効いてきたのはプライバシーの方だった。RayNeo Air 4 Proのレンズは外から覗き込んでも黒く反射するだけで、映像はまったく見えない。新幹線の隣席や、カフェの対面席を気にせず映像コンテンツを再生できるのは、想像していた以上に肩の力が抜ける体験だった。

ウィスパーモードを使えば音漏れも抑えられるため、周囲への配慮をしながら移動中の時間を自分の映画館にできる。この「気を使わなくていい」感覚こそが、このグラスの一番の価値だと感じた。

2. HDR10対応の色の出方は、スペック値以上に体感差がある

1080P・46度視野角という数字だけを見ると「そこまで高解像度ではない」と感じるかもしれない。だが実際にHDR10対応コンテンツを再生すると、暗部の階調と発色の鮮やかさがSDR再生時とは明確に違う。1200 nitsの輝度もあり、屋内はもちろん、明るめの車内でも画面が沈みにくい。

120Hzのリフレッシュレートは、Steam DeckやPS5を接続してのゲームプレイで特に恩恵を感じる。動きの速いシーンでも滲みが少なく、据え置きモニターに近い感覚でプレイできた。

3. 76gの軽さでも、長時間はやはり鼻に負担がくる

76gという数字は一般的なメガネと比べると重いが、装着した瞬間の圧迫感はそれほど強くない。ただし2時間を超えるような連続視聴では、鼻あて部分への負担がじわじわと蓄積してくる。休憩を挟みながら使う分には問題ないが、「一日中かけっぱなし」を想定した製品ではないと感じた。

USB-Cケーブルで給電元の端末とつながっている構造上、ケーブルの取り回しにも多少慣れが必要だった。ポケットに端末を入れて歩きながら使う場合は、ケーブルの長さと取り回しを事前に確認しておきたい。

購入前に知っておきたいこと

⚠ 注意点
  • 長時間の連続使用には向かない。
    76gと軽量な部類だが、2時間を超える連続使用では鼻あて部分への負担を感じやすい。休憩を挟みながらの使用を前提にしたい。
  • 接続には給電できるUSB-C出力が必要。
    プラグ&プレイ方式のため特別なアプリ設定は不要だが、接続先デバイスのUSB-C出力仕様によっては別途アダプターが必要になる場合がある。事前に手持ちデバイスとの相性を確認しておくと安心。
  • 度付きレンズは別売りの場合がある。
    普段メガネやコンタクトを使用している人は、購入前に度付きインサートレンズの対応状況を確認しておきたい。

こんな人に向いている

  • 移動中に周囲を気にせず映画や配信を楽しみたい人
  • Switch 2やSteam Deckなどの携帯機を大画面でプレイしたい人
  • ノートPCのサブモニターとして持ち歩ける画面が欲しい人
  • HDR10の発色にもこだわりたい人

総評

参考価格39,999円は、ARグラスとしては決して手が届きにくい価格帯ではない。実際に使ってみると、201インチという画面サイズの数字よりも、「誰にも見られずに映像を楽しめる」という体験そのものが日常の使い方を変えてくれた。

「ARグラスはのぞき見防止のためのガジェット」というイメージで見ていた自分に、HDR10の発色とBang & Olufsenのサウンドが静かに付け加わってきた一台だった。

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