この2台、コンセプトは同じだ。USB-Cで繋いで大画面を楽しむ。でもスペックが噛み合わない部分がある。2万円の価格差を払う理由がどこにあるか、正直に書く。
この記事の結論
- 映画・Netflix・ゲームがメイン用途で、コスパ最優先の人 RayNeo Air 4 ProBEST 1200nit・HDR10・B&Oサウンド — ¥45,980
- 移動中・乗り物内でよく使う人、PC作業のサブモニター用途の人 XREAL 1S ネイティブ3DoF・1920×1200 — ¥67,980
この2台、何が同じで何が違うか
XREAL 1SとRayNeo Air 4 Proは、どちらも「USB-C接続型の大画面ARグラス」だ。スマートフォン・PC・Switch 2などUSB-C DP Alt Mode対応デバイスに繋いで、仮想の大スクリーンを目の前に出す。単体では動作しない接続型という点でコンセプトは完全に一致している。
違いは「どこに投資したか」だ。XREAL 1Sは解像度・X1チップによるネイティブ3DoF・Boseサウンドに金をかけた。RayNeo Air 4 Proは輝度・HDR10・B&Oサウンド・Vision 4000チップによるAI HDRアップスケールに金をかけた。同じ大画面ARグラスでも、映像体験の設計思想が異なる。
| 項目 | RayNeo Air 4 ProBEST | XREAL 1S |
|---|---|---|
| 参考価格 | ¥45,980 | ¥67,980 |
| ディスプレイ | MicroOLED(Vision 4000チップ) | Sony製 0.68型 MicroOLED |
| 解像度(片目) | 1920×1080(FHD・16:9) | 1920×1200(WUXGA・16:10) |
| 輝度 | 1,200 nit | 700 nit |
| リフレッシュレート | 最大120Hz | 最大120Hz |
| HDR対応 | HDR10(ARグラス世界初)+AI SDR→HDRアップスケール | — |
| 仮想スクリーン | 最大201インチ | 最大500インチ(10m先) |
| 視野角(FOV) | 約46° | 52° |
| 重量 | 76g(公称)実測約79g | 82g(公称) |
| チップ | Vision 4000(映像処理特化) | XREAL X1(3DoF処理) |
| 空間認識 | 0DoF(頭部固定追従) | ネイティブ3DoF(単体) |
| サウンド | Bang & Olufsen クアッドスピーカー | Sound by Bose |
| 3D表示 | AI 2D→3D変換 | REAL 3D(AI 2D→3D変換) |
| 接続 | USB-C DP Alt Mode | USB-C DP Alt Mode |
| 総合スコア | 9.2 / 10 | 9.0 / 10 |
太字は各項目で数値・仕様がより優れる方。総合スコア・価格ともにRayNeo Air 4 Proが上回るが、移動中の3DoF活用やPC作業用サブモニター用途ではXREAL 1Sが逆転する場合がある(詳細は各製品セクション参照)。「—」は執筆時点で公式情報を確認できなかった項目。
数字の「逆転」を読む
解像度はXREAL 1Sが上だが、輝度はRayNeo Air 4 Proが2倍近く上
XREAL 1Sの1920×1200(WUXGA)はRayNeo Air 4 Proの1920×1080(FHD)より縦に120px多い。16:10の縦長フォーマットで、PC画面やブラウザを映したときにより多くの情報が収まる。この差は映画鑑賞より「作業用サブモニター」として使うときに実感しやすい。
一方、輝度は700nit対1200nit。RayNeo Air 4 Proがほぼ倍だ。明るい室内・窓際・新幹線の車窓横など、外光が入る環境での視認性に直接影響する。屋外での使用や、明るい場所が多い生活環境ならこの差は体感できる。
HDR10という切り口
RayNeo Air 4 ProはARグラス世界初のHDR10対応を謳う。HDR10は輝度の高低差を活かして映像のコントラストと色深度を高める規格で、Netflix・Amazon Prime・Appleなどの主要ストリーミングコンテンツで対応作品が増えている。黒の締まり、ハイライトの明るさ——映画の暗部表現がくっきりする。
さらにVision 4000チップのAI SDR→HDR変換機能により、HDR非対応コンテンツもリアルタイムでHDRライクな映像に変換できる。YouTube・TikTokを含むほぼすべての映像がAI処理の恩恵を受けられる設計だ。XREAL 1SはHDR10非対応。映像の「映え」という点ではRayNeo Air 4 Proに軍配が上がる。
3DoFはXREAL 1Sの最大の差別化点
XREAL 1Sが搭載するX1チップのネイティブ3DoFは、頭の向きを検知してスクリーンを空間に「固定」する機能だ。頭を右に向けても、画面が追従せずに空中の定位置に留まる。移動中・電車・飛行機などで頭の向きが変わりやすい環境で、画面が目の前にずっとある感覚になる。
RayNeo Air 4 Proは0DoF(顔に追従する固定モード)のみ。頭を動かすと画面も一緒に動く。これは「画面の中にいる感」より「画面を持ち歩いている感」だ。映画鑑賞で頭をほぼ動かさない使い方なら差は小さいが、マルチタスク・作業用途・乗り物内での使用では3DoFの快適さが際立つ。
重量の「6g差」が長時間使用でどう効いてくるか
公称値はXREAL 1Sが82g、RayNeo Air 4 Proが76g。実測ではAir 4 Proは約79gという報告もあり、差は実質3g程度に縮まる可能性がある。
それでも、ARグラスの重量は通常の眼鏡(20〜30g)の2〜3倍あり、すべての重さが鼻梁と耳の2点に集中する。頭部前方に重心が偏ると首への負荷が積み上がる。映画1本(2時間)・フライト内の視聴・テレワーク中のサブモニター使用——これらは1時間を超える連続装着が前提だ。
6gという差は持った感覚ではほぼわからない。だが1時間後、2時間後に「なんか重い」という感覚になったとき、その原因を遡ると重量の積算負荷であることが多い。ARグラスを毎日長時間使う予定なら、軽い方を選ぶことは正しい判断だ。ただし、RayNeo Air 4 Proの実測79gという数字は公称76gより重く、差が縮まる点も頭に入れておきたい。
01RayNeo Air 4 Pro|映像美とコスパの推し
→ 映画・Netflix・ゲームがメイン用途で、コスパ最優先でARグラスを始めたい人に。
良かった点
- 輝度1200nitはXREAL 1Sの700nitのほぼ倍。明るい室内・窓際・新幹線の車窓横など、外光が入る環境での視認性が高い。
- ARグラス世界初のHDR10対応。Vision 4000チップのAI SDR→HDR変換で、非対応コンテンツもリアルタイムでHDRライクな映像に変換できる。
- Bang & Olufsenクアッドスピーカーの音響。
- 重量76g(公称)とXREAL 1Sの82gより軽く、価格も¥45,980と2万円安い。コスパを重視するならまずこちらから入っても後悔しない。
気になった点
- 空間認識は0DoF(頭部固定追従)のみ。頭を動かすと画面も一緒に動く「画面を持ち歩いている感」になる。
- 実測重量は約79gという報告があり、公称76gより重い。XREAL 1Sとの重量差は実質3g程度に縮まる可能性がある。
- 解像度は1920×1080(FHD)でXREAL 1Sの1920×1200(WUXGA)より低く、視野角も約46°でXREAL 1Sの52°より狭い。
02XREAL 1S|移動中とPC作業で逆転する1台
→ 移動中・乗り物内でよく使う人、PC作業・サブモニター用途がメインの人に。
良かった点
- ネイティブ3DoFで画面を空間に固定できる。頭を動かしても画面が追従せず定位置に留まるため、移動中・電車・飛行機など頭の向きが変わりやすい環境で画面が目の前にあり続ける感覚になる。
- 解像度1920×1200(WUXGA・16:10)で縦の情報量が多い。PC画面やブラウザを映したときに情報が収まりやすく、作業用サブモニターに向く。
- 視野角52°・仮想スクリーン最大500インチ(10m先)とRayNeo Air 4 Proより広い。
- Sound by Bose。
気になった点
- 輝度700nitでRayNeo Air 4 Proの1200nitより暗い。明るい室内・窓際での視認性はやや劣る。
- HDR10非対応。映像の「映え」という点ではRayNeo Air 4 Proに軍配が上がる。
- 重量82g・価格¥67,980とRayNeo Air 4 Proより重く高い。2万円の差を払う理由が明確でないと選びにくい。
どちらを選ぶべきか
純粋なエンタメ・映像体験軸ではRayNeo Air 4 Proが上回る。1200nit・HDR10・B&Oの音響——この3つが揃って¥45,980は、ライバル機を圧倒するコスパだ。ARグラスを初めて試すなら、まずこちらから入っても後悔しない。
XREAL 1Sが逆転するのは「移動中・3DoFを活かした使い方」と「PC作業・サブモニター用途」だ。仮想スクリーンを空間に固定したまま頭を動かせる体験は、Air 4 Proでは得られない。それに2万円を払う価値があるかどうか——使い方次第で答えが変わる。

