動画編集の課題提出前日、ショートカットキーを覚えるだけで時間が溶けていく。Premiere Proのカット、Photoshopのブラシサイズ調整、CLIP STUDIO PAINTの拡大縮小——ソフトごとに指の配置が違い、キーボードの上で手が迷子になる。TourBox NEOは、その迷子状態を静かに終わらせてくれた。

大学の映像サークルとイラスト系の友人数人に勧められて導入した編集コントローラーだが、正直「ボタンとダイヤルが並んだ箱」以上の期待はしていなかった。使い始めて分かったのは、これは覚えるための道具ではなく、体に馴染ませるための道具だということだった。

TourBox NEOとは何か

TourBox NEOは、動画編集・写真現像・イラスト制作向けに設計された有線タイプの編集コントローラー。ダイヤル・つまみ・ボタンを組み合わせて、Premiere Pro、Photoshop、Lightroom、CLIP STUDIO PAINT、DaVinci Resolveなど主要な制作ソフトのショートカットを、キーボードから手を離さずに操作できるようにする周辺機器。

TourBoxシリーズにはワイヤレスの上位モデルもあるが、NEOは有線接続に絞ることで価格を抑えた「まず1台目」向けのモデル。学生の予算でも手が届く価格帯に、シリーズの基本操作感をほぼそのまま落とし込んでいる。

主要スペック

型番TBG_H_L_N
参考価格19,980円(税込・変動あり)
接続方式有線USB接続
入力構成ボタン11個+ダイヤル・つまみ3系統(100通り以上の操作パターン)
対応OSWindows/macOS
本体サイズ約198mm × 148mm
本体素材PC+ABS樹脂
主な対応ソフトPhotoshop/Lightroom/Premiere Pro/DaVinci Resolve/Capture One/CLIP STUDIO PAINT/Blender 他

使ってわかった3つの正直な話

1. 覚えるのではなく、指が勝手に覚えていく

最初の数日は、正直キーボードショートカットを打っていたときとそう変わらなかった。「このダイヤルは何の役割だったか」と手が止まる場面が何度もあった。だが1週間ほど同じ課題作業を繰り返すうちに、ブラシサイズの調整も、タイムラインのズームも、画面を見ずに指だけで動かせるようになっていた。キーボードのショートカットを暗記する感覚とは違い、体の動きとして残っていく感触がある。

2. ソフトを切り替えても、指の配置を変えなくていい

動画編集とイラスト制作を同じ日にやることが多いが、これまではPremiere ProのショートカットとCLIP STUDIO PAINTのショートカットが頭の中で混線して、誤操作が地味に多かった。TourBox NEOは専用アプリでソフトごとにプリセットを切り替えられるため、手の位置自体は変えず、画面側のソフトが切り替わるだけという感覚に近い。切り替えの手間より、混線が減ったことのほうがありがたかった。

3. 有線であることが、思ったよりストレスにならない

購入前に一番気になっていたのはケーブルの取り回しだった。無線モデルと比べて見劣りするのではという懸念があったが、実際にはデスクの左手側に固定して使う道具なので、動かす頻度自体が低い。充電切れで作業が止まる心配がない分、締切前の長時間作業ではむしろ安心材料になった。

導入で気をつけたいこと

⚠ 注意点
  • 最初のプリセット設定に時間がかかる。
    使うソフトごとにボタン・ダイヤルの役割を自分で割り当てる必要がある。既存の設定テンプレートを配布しているコミュニティもあるが、自分の作業フローに合わせて微調整する時間は見込んでおいたほうがいい。
  • デスクスペースを取る。
    本体サイズは手のひら程度だが、キーボード・マウスに加えて置き場所が必要になる。ノートPCを狭い机で使っている場合は、配置を事前にイメージしておくと安心。
  • ソフト自体の基本操作は代替しない。
    TourBox NEOはショートカットの操作性を上げる道具であり、Premiere ProやPhotoshopの使い方そのものを教えてくれるわけではない。あくまで「知っている操作を速くする」ための機材という前提を持っておくといい。

こんな人に向いている

  • 映像制作サークルや授業課題で、Premiere ProやDaVinci Resolveを日常的に触る学生
  • CLIP STUDIO PAINTやPhotoshopでイラストを描いている学生
  • キーボードショートカットの暗記に限界を感じている人
  • 複数の制作ソフトを行き来する機会が多い人
  • まずは有線・低価格帯からTourBoxシリーズを試したい人

総評

TourBox NEOは、派手な機能で作業を劇的に速くする道具ではない。ショートカットキーの暗記という地味なストレスを、ダイヤルとボタンという体の感覚に置き換えてくれる道具だった。

特に、複数の制作ソフトを掛け持ちしながら課題や作品づくりを進める学生にとっては、「ソフトが変わっても手の配置は変わらない」という安心感が効いてくる。有線接続によるコストの抑えやすさも、学生の予算感には合っていた一台だった。

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