朝に材料を入れてボタンを押す。帰宅したら、牛すじが箸でほろけていた。
「平日の夕飯」という問題
仕事から帰ってから夕飯を作る。その30〜40分がしんどい。疲れているときに火の前に立って、煮込みながら別の鍋の様子を見て、タイミングを計る——これを毎日こなすのは、想像以上に体力を使う。
電気圧力鍋を買う前、妻が「ホットクックが欲しい」と言っていた。調べてみると4〜5万円する。そこでまず試しに、と手に取ったのがこのアイリスオーヤマのPMPC-MA4だ。価格は1万円台。レシピブック付き。自動メニュー90種類。
試しのつもりが、今では手放せない一台になっている。
PMPC-MA4とはどんな製品か
アイリスオーヤマが展開する電気圧力鍋シリーズの4Lモデル。3〜4人家族に対応する容量で、圧力調理・無水調理・蒸し調理・低温調理・炒め調理・煮込み・炊飯・発酵・鍋の1台9役をこなす。業界最高出力の1000Wで加熱時間を短縮し、LCDディスプレイで調理状態を確認できる。
主要スペック
| 容量 | 4.0L(調理容量 約2.6L) |
|---|---|
| 消費電力 | 1000W(業界最高出力) |
| 自動メニュー | 90種類 |
| 調理機能 | 圧力・無水・蒸し・低温・炒め・煮込み・炊飯・発酵・鍋(1台9役) |
| 予約機能 | 最大12時間(白米・カレー・豚角煮・おでん対応) |
| 保温機能 | 最大12時間 |
| 付属品 | ガラス蓋・蒸しかご・レシピブック |
| 対応人数 | 3〜4人用 |
使って気づいた、3つの本音
1. 「ほったらかし」の意味を、初めて実感した
ビーフシチューを作った初日の話をする。帰宅前に妻が材料と調味料を鍋に入れ、「ビーフシチュー」のボタンを押して出かけた。帰宅したとき、部屋にシチューの香りが漂っていた。肉は箸で崩れるほど柔らかく、じゃがいもは形を保ちながらほっくり仕上がっていた。
普通の鍋で同じものを作ろうとすると、1時間半は鍋の前に立つ必要がある。火加減を見て、灰汁を取って、焦げないように混ぜて。電気圧力鍋はその「立っている時間」をゼロにする。これが「ほったらかし」の実態だ。
2. 1000Wの出力差は、実際の調理時間に出る
圧力調理は「加圧開始まで」の時間が思いのほかかかる。安価な電気圧力鍋は700〜800W程度のものが多く、加圧・減圧に時間がかかる。PMPC-MA4の1000Wは、この待機時間を短縮するための数字だ。
実際に使ってみると、加圧完了までの速度は体感できる差がある。「帰宅してから1時間で夕飯」を実現するには、この出力差が効いてくる。
3. 低温調理で、自宅の食卓が変わった
個人的に一番驚いたのが低温調理機能だ。鶏むね肉を63℃で90分。仕上がりはしっとりとした、しかし生ではない絶妙な火入れ。居酒屋で食べるような「サラダチキン」が自宅で作れる。
牛もも肉のローストビーフも試した。レシピブックに温度と時間が書いてあるので、難しい知識は何もいらない。材料を入れて温度を設定するだけで、料理の難易度とは不釣り合いなクオリティが出てくる。この体験は、正直予想外だった。
正直に言う「注意点」
- 予約機能が使えるメニューは限られる。
予約対応は「白米・カレー・豚角煮・おでん」の4メニューのみ。「朝セットして帰宅後に完成」を全メニューで使いたい人には物足りない。ただし保温機能で補える場面も多く、実用上は大きな問題にはならない。 - 蓋の洗浄がやや手間。
内蓋・パッキン・おもりレバーを分解して洗う必要がある。食洗器非対応のため手洗いになる。これは電気圧力鍋全般の構造的な話で、慣れれば5分程度だが、最初は戸惑う。 - 電源コードのマグネットが外れやすい。
着脱しやすい反面、隣に物があるとすぐ外れる。設置場所の余裕を少し確保しておくといい。
こんな人に向いている
- 共働きで平日の夕食準備に追われている家庭。
朝セットしておけば帰宅後にすぐ食卓に出せる。 - 煮込み料理・角煮・シチューを楽に作りたい人。
火の前に立つ時間をほぼゼロにできる。 - 低温調理に興味があるが難しそうで踏み出せていない人。
温度と時間を設定するだけで、居酒屋レベルの仕上がりになる。 - 電気圧力鍋を初めて試してみたい人。
1万円台でホットクックに近い体験の多くが手に入る。 - 3〜4人家族で4L前後の容量が必要な人。
調理容量約2.6Lは家族分をまかなうのにちょうどいい。
総評
「ほったらかし調理」という言葉は以前から知っていたが、実際に体験するまでその価値をわかっていなかった。材料を入れてボタンを押す。それだけで、帰宅後に本格的な煮込み料理が待っている。この体験は、生活の質を一段上げてくれる。
ホットクックの半額以下で、同じ「ほったらかし」体験のかなりの部分が手に入る。まず電気圧力鍋を試してみたいという人にとって、PMPC-MA4は現時点でもっとも失敗しにくい答えのひとつだ。