年に数回しか使わない。そのためだけに高いプリンターを買う必要はない——その判断が正しいかどうかを、正直に書く。
テレワークが始まった頃、プリンターを真剣に探した。毎日印刷するわけではない。でも確定申告の季節、学校から届くプリント、役所に提出する書類——「ないと困る」タイミングは確実にある。
月に5〜10枚程度の印刷なら、高機能モデルの性能を活かしきれない。コンパクトで、Wi-Fiで繋がって、スマホからも使えて、スキャンもできて、1万円以下——そのラインで一番信頼できるメーカーを探すと、エプソンのEW-056Aが候補に上がる。
EPSON EW-056Aとは
エプソンのカラリオシリーズが2024年2月に発売したエントリーモデルのA4インクジェット複合機。プリント・コピー・スキャンの3機能をコンパクトなボディ(幅390×奥行300×高さ146mm)に収め、Wi-Fi接続でスマホからも印刷できる。顔料ブラックインクを採用することで、文書印刷のにじみにくさを確保している。
主要スペック
| 機能 | プリント・コピー・スキャン(3役) |
|---|---|
| 対応用紙サイズ | L判〜A4 |
| 最高解像度 | 5,760×1,440dpi |
| スキャン解像度 | 最大1,200dpi |
| インク | 4色独立型(顔料ブラック+染料カラー3色) |
| 接続 | Wi-Fi(IEEE802.11b/g/n)・USB |
| 給紙容量 | 50枚(背面トレイ) |
| L判写真コスト | 約30.5円(インク+用紙) |
| 本体サイズ・重量 | 390×300×146mm・約4.0kg |
使ってわかった、3つのポイント
1. Wi-Fi設定は、スマホアプリ経由が確実
「Epson Smart Panel」アプリをスマホに入れてから接続設定を行うのが最もスムーズだ。このアプリを使うとプリンターの検索・接続・印刷・スキャンまで一元管理でき、Wi-Fi環境でのセットアップがかなり楽になる。
PCからのWi-Fi接続は、ルーター経由のインフラストラクチャーモードを使う設定を確認してから進めるとトラブルが少ない。WPS対応ルーターならボタン一発で繋がることもある。直接接続(Wi-Fi Direct)になってしまいうまく繋がらないという声もあるので、接続方式の確認は事前にしておきたい。
2. 文書印刷は顔料ブラックが効く。写真は「標準」より「高品質」で
このモデルが顔料ブラックを採用している意味は、日常的な文書印刷にある。契約書、履歴書、役所への提出書類——にじみにくく、水に強い顔料インクは、こうした場面で染料インクより安定した仕上がりになる。
カラー印刷は、プリンタードライバーの品質設定を「きれい」または「高品質」にして印刷するのが基本だ。「標準」設定では薄めに出る場合があり、普通紙では特に差が出やすい。写真用紙と「高品質」の組み合わせなら、L判30.5円のコストで満足度の高い仕上がりになる。
3. スキャン1,200dpiは、書類保管用途で十分すぎる
レシート、契約書、子どもの作品、年賀状——スキャンしてデジタル保存したいものは意外と多い。EW-056Aの最大1,200dpiは、A4文書のデジタル保管には必要十分だ。
スマホアプリからスキャンしてPDFや画像としてクラウドに保存する流れもスムーズで、ペーパーレス化の入口として使いやすい。確定申告の領収書整理や、紙の書類をまとめてデジタル化したい人にとっては、この機能だけでも元が取れる。
買う前に知っておきたいこと——正直に書く
- 廃インクタンクは交換不可。
廃インクパッドが満杯になると本体が使えなくなる構造で、このモデルは廃インクタンクをユーザーが交換できない。フチなし印刷やヘッドクリーニングを頻繁に行うと消耗が早まる。日常の文書・コピー印刷中心であれば数年は問題ないが、写真をフチなしで大量に印刷する使い方には向いていない。年賀状を100枚以上フチなし印刷するような用途なら、廃インクタンクが交換できる上位モデル「EW-456A」の方が長期的に安心だ。 - 自動両面印刷は非対応。
両面にしたい場合は手動で用紙をひっくり返す必要がある。テレワークで大量の両面資料を印刷する機会が多いなら、EW-456Aを選ぶ方がストレスが少ない。 - 液晶パネルは非搭載。
本体だけで細かい設定変更はできないため、スマホアプリかPCのドライバーから操作する前提になる。逆にシンプルな分、ボタン操作は直感的で迷わない。
こんな人に向いている
- 月に数枚〜10枚程度の印刷が主な用途の家庭
- 確定申告・役所書類・学校プリントなど文書印刷中心の人
- スキャンしてデジタル保存したい書類がある人
- コンパクトさと価格を優先したい人
- 初めてプリンターを買う人・買い替えで予算を抑えたい人
総評
「プリンターに1万円以下でいい」という判断は、使い方次第で正解になる。年に数十枚の文書印刷とスキャンが主な用途なら、EW-056Aのシンプルな構成は過不足ない。エプソンの品質と1万円以下という価格は、入門機としての価値を十分に持っている。
ただし、フチなし写真印刷を大量にする、自動両面印刷が必要、長期間使い倒したい——そのいずれかが当てはまるなら、最初から上位モデルを選んだ方が後悔しない。「自分の使い方に合っているか」を確認した上で買えば、EW-056Aは期待に応えてくれる一台だ。