「R6 Mark IIで十分じゃないか」。そう思いながら発売日の朝を迎えた。ヨドバシの実機コーナーで触ってみるまでは。

手ブレ補正8.5段。3250万画素。CFexpress対応。スペックシートを眺めれば「順当な進化」で済ませられる。でも実際にシャッターを切った瞬間、何かが違うとわかった。ファインダーの中で被写体が、ピタッと止まる感覚。AFが"探している"ふりをしない。

40代になって「カメラに振り回される撮影」が嫌になった。ピント、手ブレ、バッファ詰まり——そういうカメラ側の都合に合わせる時間が、もったいなくなってきた。R6 Mark IIIは、その不満に対するひとつの回答だと思う。

主要スペック

撮像素子フルサイズ 35.9×23.9mm CMOSセンサー
有効画素数約3250万画素
映像エンジンDIGIC X
AF方式デュアルピクセルCMOS AF II(最大100人の顔登録)
連写速度電子シャッター:最高約40コマ/秒
メカ/電子先幕:最高約12コマ/秒
プリ連続撮影最大20コマ(約0.5秒)さかのぼり
手ブレ補正最大8.5段(レンズIS協調時)
常用ISO100〜102400(拡張:50/204800)
動画7Kオープンゲート RAW、4K120P、Canon Log-2/3対応
カードスロットCFexpress Type B × 1、SD UHS-II × 1(デュアルスロット)
EVF576万ドット OLED(0.76倍)
背面モニター3.0型 バリアングル液晶
バッテリーLP-E6P
本体サイズ138.5×98.0×88.4mm
質量約609g(バッテリー・カード含む)
防塵防滴対応

使い込んでわかった「良かった点」

✓ 良かった点
  • AFの"迷いのなさ"が別次元。コントラストの低い薄暗いシーンでも、狙った場所でピタッと止まる。被写体の端に構図を寄せても、手前のノイズに引っ張られない安定感がある。
  • 3250万画素でも「扱いやすい」。高画素化するとブレが目立つ——その心配を8.5段手ブレ補正が消してくれる。解像感が上がったのに、手持ちの歩留まりは下がらなかった。
  • プリ連続撮影は一度使うと戻れない。シャッターを押す0.5秒前からさかのぼって記録できる。「押した瞬間には終わっていた」という決定的瞬間を取り逃さない。
  • CFexpressデュアルスロット採用。R6 Mark IIで唯一不満だったバッファ詰まりの問題が解消。40コマ/秒の連写もスムーズに書き出せる。
  • Canon色は健在。高画素化しても、エッジが過剰に立つ描写にならない。肌色の階調、紅葉の赤——自然に、丁寧に描き分けてくれる。

正直に言う「注意点」

⚠ 注意点
  • 価格は40万円前後。R6 Mark IIから乗り換えると差額は20万円以上。スチルメインで使うなら、その差をどう評価するかは正直人による。
  • モードダイヤルはR5系と異なる。R5 Mark IIを使っていた人は操作系の違いが気になるかもしれない。慣れの問題ではあるが、統一してほしかったという声も多い。
  • バリアングルのまま。α7 IVのようなバリチルを期待していた人には肩透かし。下アングルでの縦位置撮影はちょっと不便。
  • 動画機能が充実しすぎて割高感を感じる人もいる。スチル専用なら7Kオープンゲート、Canon Log-3対応は宝の持ち腐れ。その分の価格を払う気になれるかどうか。

R6 Mark IIからの乗り換えは「あり」か

正直に言う。R6 Mark IIで満足している人は、急いで乗り換える必要はない。

ただ、これに当てはまるなら話は別だ。子どもの運動会でピンボケを量産している。夜景や室内撮影で手ブレが悩みの種になっている。連写後のバッファ詰まりにイライラしている。

その全部を、R6 Mark IIIは片付けてくれる。「カメラの限界に当たって悔しい思いをする回数」が、明らかに減る。それが40万円の価値になるかどうか——それだけの話だ。

個人的には、フルサイズ機を長く使い続けるつもりなら「買い」だと思っている。中途半端なスペックで後悔するより、5年使える一台を選ぶ方が、結局は安い。