去年の秋、京都に行った。
Canon 6D Mark IIとLレンズを持って行ったが、嵐山の混雑の中でバッグから出す気になれなかった。結局スマホで撮って、帰ってから後悔した。あの紅葉の光を、ちゃんとした映像で残せなかったことを。Osmo Pocket 4があったら、間違いなく違っていた。
持ち歩けるカメラこそが最強のカメラだ、という話をしたい。
スペック
| センサー | 1インチCMOS(新開発)・約3700万画素 |
|---|---|
| 動画 | 4K/60fps(通常)・4K/240fps(スロー・8倍) |
| ダイナミックレンジ | 14ストップ(4K/30・60fps時) |
| Log収録 | 10bit D-Log対応 |
| ジンバル | 3軸メカニカルジンバル |
| トラッキング | ActiveTrack 7.0(4倍ズーム時も追従) |
| 内蔵ストレージ | 107GB |
| ズーム | 4Kで2倍ロスレス・1080pで4倍ロスレス |
| バッテリー | 1545mAh(1080p/24fpsで約240分) |
| 接続 | USB-C(USB 3.1)・Wi-Fi 6 |
「手ブレしない」は想像の上を行く
電子補正じゃない。物理的な3軸ジンバルが、どんな動きにもカメラを水平に保ち続ける。
階段を駆け下りながら撮っても、滑らかだ。砂浜を走りながら撮っても、滑らかだ。個人的に驚いたのは、息を切らしながら山の稜線を歩いているシーン——普通のカメラなら絶対にブレる場面で、映像がまるで映画のように流れていくこと。この体験を一度すると、電子補正のカメラには戻れなくなる。
100万円超えのシネマカメラにしかなかった4K/240fps撮影が、ポケットに入るこのサイズで実現している。水しぶき・走る子ども・風に揺れる木の葉——8倍スローにすると、肉眼では見えなかった世界が出てくる。一度使ったら、この機能なしには戻れない。
107GBの内蔵ストレージという安心感
地味に見えて、これが一番デカい進化かもしれない。
旅先でSDカードを忘れたことがある人、手を挙げてほしい。あの絶望感は経験者にしかわからない。Osmo Pocket 4は本体だけで107GBを内蔵している。4K/30fpsで撮り続けても、数時間分の映像を保持できる。SDカードを別途用意すれば、実質無制限に近い。「撮り逃がし」のリスクが、構造的になくなった。
10bit D-Log——「後で仕上げるカメラ」への進化
前モデルのPocket 3はD-Log Mという簡易的なLog収録だった。Pocket 4は本格的な10bit D-Logに対応した。
これが何を意味するか。撮影時に完成形を決めなくていい、ということだ。ハイライトを飛ばさず、シャドウを潰さず、豊富な階調情報を記録しておいて、編集で仕上げる。写真でいうRAW現像と同じ発想が、動画でもできるようになった。旅の映像を本格的に仕上げたい人には、この10bit D-Logの存在だけで買い替えの理由になる。
画面を自分側に向けて自撮りしながら、ジンバルが自動で顔を追いかける。ひとり旅の記録に最高だ。子どもを撮るとき、ActiveTrack 7.0が顔を認識して離さない。「撮れてなかった」がほぼなくなる。
Pocket 3との比較——買い替える価値はあるか
Pocket 3ユーザーへ正直に言う。
10bit D-LogとUSB 3.1の高速転送、107GBの内蔵ストレージ、4K/240fps——この3つが刺さるなら、買い替えは濃厚だ。逆に「Pocket 3で特に不満がない」「動画はSNS用に4K/60fpsで十分」という人は、急いで買い替えなくてもいい。Pocket 3も値下がりしており、今から入門するならPocket 3という選択も理にかなっている。
外観はPocket 3とほぼ同じで、見た目の「新しさ」は薄い。価格も7〜10万円台と、コンパクトカメラとしては決して安くない。あくまでも「動画を本気で残したい人のための道具」だと割り切って選ぶべき製品だ。
結論:旅に持ち出せるカメラが、最高のカメラだ
一眼レフは素晴らしい。でも、重い。持ち出せない日がある。
Osmo Pocket 4はシャツのポケットに入る。ジャケットの内ポケットでいい。取り出して1秒で撮影が始まる。その気軽さが、撮れる瞬間の数を圧倒的に増やす。持ち歩いたカメラが一番いい映像を残す——Osmo Pocket 4は、その事実を改めて教えてくれる道具だ。