イヤホンのレビューはたいてい音質の話から始まります。AirPods Pro 3(型番MFHP4J/A)の音がいいのは、正直もう言うまでもありません。ただ使い込んでみて一番「おっ」と思ったのは、音を出す性能ではなく、周りの音を拾う性能のほうでした。

きっかけは、耳が少し遠くなってきた父にこれを渡したことです。オーディオ機器のつもりで買ったのに、いまでは日常会話を聞き取る道具として重宝されています。反面、ノイズキャンセルが効きすぎて怖い場面もありました。その両方を正直に書いておきます。

主要スペック

型番MFHP4J/A
参考価格37,300円(税込・変動あり/メーカー参考39,800円)
タイプ完全ワイヤレスイヤホン(カナル型)
ノイズキャンセリングアクティブノイズキャンセリング対応
外部音取り込み対応
充電端子USB-C
カラーホワイト

使ってわかった3つの正直な話

1. 外部音取り込みが、耳の遠くなった家族の会話補助になった

一番びっくりしたのがこれです。父は最近テレビの音量が上がったり、こちらの声を聞き返したりが増えていました。外部音取り込みモードで使ってもらったら「周りの声がはっきり聞こえる」と、本人がすっかり気に入っています。取り込んだ音が不自然に増幅されず、地続きに聞こえるのがいいみたいです。

もちろんこれは補聴器ではなく、外の音を拾って聞きやすくするイヤホンの機能です。聞こえに不安があるなら専門家に相談するのが前提。それでも、家族が自然に使えている光景は予想外の収穫でした。

2. ノイズキャンセルが効きすぎて、外では「気づかない」怖さがある

ノイズキャンセルは、正直効きすぎなくらいよく効きます。電車の走行音も街のざわつきもスッと消えて、静かな空間が手に入る。集中したいときや移動中は最高です。

問題はその静けさの裏側。ホームで音楽を聴いていると、電車が入ってきたことにすら気づきません。踏切や車の接近音も同じ。屋外ではオフにするか外部音取り込みに切り替える——この一手間をサボると危ないので、そこだけは気をつけてください。

3. 音質は、もう語らなくていい安定感

肝心の音は期待どおり。低音は締まって量感もあり、ボーカルや高域の抜けもいい。ジャンルを選ばず気持ちよく鳴らしてくれます。音質で不満を感じる場面は、まずないでしょう。

裏を返せば、音質はもう語る必要がない水準に達している、ということ。だから買う決め手は音そのものより、外部音取り込みやノイズキャンセル、Apple製品とのつながりやすさといった「体験ぜんぶ」のほうにあります。

購入前に知っておきたいこと

⚠ 注意点
  • 屋外ではノイズキャンセルの使い分けが必須。
    遮音性能が高く、電車や車の接近音にも気づきにくい。交通量のある場所では外部音取り込みに切り替えるなど、意識した使い方が必要。
  • 補聴器の代わりにはならない。
    外部音取り込みは会話の聞き取りを助けてくれるが、医療機器ではない。聞こえに本格的な不安がある場合は専門家への相談が前提。
  • 持ち味を活かすにはApple製品との組み合わせが有利。
    接続やデバイス切り替えのなめらかさはApple製品との連携で最も活きる。他社製品でも使えるが、体験の一部は前提が変わる。

総評

音質だけ見れば「良くて当たり前」の一台。でも記憶に残ったのは、家族の会話補助になるほど自然な外部音取り込みと、外では油断できないほどの遮音性でした。この振れ幅を1台で切り替えられるのが面白いところ。使い分けさえ意識すれば、日常を静かに底上げしてくれます。参考価格37,300円。